COLUMN
2021.03.19
ウイルスの種類 ノンエンベロープウイルスとは?アルコールは効く?
私たちが毎日生活をする周りには、目には見えなくともウイルスや細菌が多く存在します。
基本的には手洗いによってウイルス・細菌を落とすことができるのですが、中にはそういった手洗い・消毒の効かない厄介な種類もいます。
今回は、ウイルスの種類の中でも「ノンエンベロープウイルス」についてご紹介します。
ウイルスと細菌の違い
ウイルスと細菌、それぞれの違いについてご紹介していきます。
ウイルスとは
宿主となる細胞が無いと増殖することができない特徴をもつのがウイルスです。
生物の細胞に寄生し、宿主の細胞が自身の細胞を増やすために使用する材料を横から奪うことで増殖していきます。
そのまま増殖が広がりウイルスが大量発生してしまうと宿主の細胞が死滅します。
そうなると、ウイルスはまた別の生物に寄生して増殖を繰り返していくのです。
細菌とは
細胞構造をもっているため、ある程度の水分・栄養があれば細胞分裂を行って増殖していくことができるのが細菌です。
細菌と言っても害のあるものだけでなく、人間の健康維持のために必要なビフィズス菌や病原性のない常在菌なども細菌に含まれます。
コロナウイルスはエンベロープウイルス
ウイルスには、エンベロープのある「エンベロープウイルス」とエンベロープの無い「ノンエンベロープウイルス」の2種類が存在します。
エンベロープとは、タンパク質や脂肪から作られているウイルスの外膜のことです。
この2つの違いとしては、「ウイルスが外膜に包まれているか・包まれていないか」の違いにあります。
増殖し過ぎたエンベロープウイルスが生物の細胞から出てくる際には、細胞の成分であるこの外膜をまとって出てくるという仕組みになっています。
ただエンベロープウイルスを包むこの外膜は、アルコール消毒によって比較的安易に壊すことができ、ウイルスを失活させることができます。
エンベロープウイルスでよく知られているのは「インフルエンザ」「SARS」「MERS」、そして2020年より世界的に感染者が増えた「新型コロナウイルス」が挙げられます。
では、ノンエンベロープウイルスとは?
一方ノンエンベロープウイルスはこの外膜に包まれていないため、一見すると「エンベロープウイルスより弱いのでは?」と思ってしまいます。
しかしノンエンベロープウイルスは、この外膜に包まれていなくとも感染力を保つことができる強いウイルスであるため、アルコール消毒・熱消毒などを行ってもその効果をあまり得ることができません。
ノンエンベロープウイルスで一般的なものには、「ノロウイルス」「アデノウイルス」などが挙げられます。
ノンエンベロープウイルスに効果的な消毒
無敵とも思われるノンエンベロープウイルスにも、効果がある消毒剤があります。
それが塩素系消毒剤としての「次亜塩素酸ナトリウム」です。
殺菌力が非常に高いことからエンベロープウイルスに効果があることはもちろん、耐性のあるノンエンベロープウイルスの活性も抑えることができる優れものです。
注意しなければならないのが、刺激が強いために手指の消毒に使うことができないという点です。
皮膚に対しての刺激が強いので、物への消毒する際もビニール手袋を着用して行うようにしましょう。
ノロウイルス感染者の嘔吐物処理や感染者が触れた物の消毒によく用いられるのは、この「次亜塩素酸ナトリウム」になります。
次亜塩素酸水について詳しくはこちらでご紹介しています。
⇒最近よく耳にする、次亜塩素酸水とは?
おわりに
今回は、ウイルスの種類「ノンエンベロープウイルス」についてご紹介しました。
アルコール消毒に対しての耐性をもつノンエンベロープウイルスには、次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が効果的です。
次亜塩素酸ナトリウムを使うことで、インフルエンザや新型コロナウイルスへの感染対策を行うこともできるため、エンベロープウイルス・ノンエンベロープウイルスをまとめて消毒したい時に有効的と言えるでしょう。