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COLUMN

2022.01.24

【光触媒の主役】酸化チタンについて

光触媒の主役

光に作用して、他の物質の化学反応を起こしたり促進したりする光触媒。
光触媒には、さまざまな種類がありますが、その中でももっとも多く使われているのが、「酸化チタン」です。
唯一と言ってもいいくらいに、現在使用されている光触媒のほとんどは「酸化チタン」です。
二酸化チタンやチタニアとも呼ばれるこの物質は、いったいどのようなものなのでしょうか?
こちらの記事では、この「酸化チタン」に注目して、ご紹介いたします。

酸化チタンがどのようにして生み出されているのか

酸化チタンのもととなっているものは、「ルチル鉱」もしくは、「イルメナイト鉱」です。
これら鉱石は、オーストラリアや中国、南アフリカなどさまざまな地域の鉱山で産出されています。
これらはいずれも、現在日本では採掘されておらず、すべて諸外国からの輸入となっています。
このいずれかの鉱石を化学反応させることによって、酸化チタンを生み出すことができるのです。
ルチル鉱とイルメナイト鉱でそれぞれ、酸化チタンを生み出すまでの過程は異なります。
ルチル鉱は、塩素ガスとカーボンを用いて、「塩化チタン」に。
イルメナイト鉱は、硫酸を用いて「硫酸チタニル」にした後に「含水酸化チタン」に。
そこから、高温酸化させることによって、酸化チタンの粉末が現れてくるのです。

なぜ、酸化チタンが光触媒としてよく使われるのか?

酸化チタンについて

光触媒として用いられることが多いのは、半導体(場合によって、電気を通す・通さないという異なる性質を持つ物質)です。
ただ、半導体のほとんどは、水中で光を当てると溶けてしまうという性質があります。
光を当てて溶けてしまう性質があっては、光触媒としての使用は困難です。
逆に言えば、その性質を持たない半導体があれば、光触媒としては非常に使いやすいのです。
まさに、この光溶解という性質を持たない半導体が、酸化チタンなのです。
しかも、その元となる「ルチル鉱」や「イルメナイト鉱」は、豊富に採掘することができる鉱物であるため、価格も安価で多くの量を入手することができるのです。

酸化チタンの結晶構造

酸化チタンの結晶構造には、三つの種類があります。
・ルチル型
・アナターゼ型
・ブルッカイト型

光触媒としての酸化チタンを考えたときに、この結晶構造についても理解しておくと良いでしょう。
というのも、光触媒として酸化チタンを使用する際、この三種類のどれでも良いというわけではないからです。
三種の結晶構造のうち、もっとも活性反応の大きいアナターゼ型が光触媒には用いられます。
アナターゼ型とブルッカイト型の結晶構造の酸化チタンは、超高温で熱することでルチル型の結晶構造へと変化します。
しかし、その逆の変化は起こりません。
この時の温度は、数百度以上の超高温であるため、生活環境下では起こることはありませんが、知識としては知っておいても良いでしょう。

酸化チタンの光触媒としての優位性

光触媒としての優位性

酸化チタンは、多くの半導体が持つ「光溶解(水中で光を当てると溶けてしまう性質)」の性質を持たないことについては、すでにご説明しました。
しかし、酸化チタンには他にも、人体にとって比較的安全な光と反応することができるという優位性もあるのです。
場合によって、電気を通す・通さないという異なる性質を持つ半導体。
通常時、半導体は電気を通すことはありません。
ここに一定以上のエネルギーが加わることで、半導体は電気を通すことができるようになるのです。
この一定以上のエネルギーというのが、どの程度のエネルギーなのか。
それは、半導体によって決まっています。
エネルギーの大きな光というのは、人体にとって有害な性質を持つ傾向があります。
酸化チタン(特に、アナターゼ型の結晶構造の酸化チタン)の場合、このエネルギー量が少ない光とも反応することができるため、他の物質よりも光触媒として優れた素材であるということが証明されます。

おわりに

光触媒の主役とも言える「酸化チタン」について、ご説明いたしました。
光触媒とは、光に反応して触媒反応を起こす物質の総称です。
そのため、「酸化チタン」以外にもさまざまな物質が存在しています。
しかし、実際に光触媒として活用されているのは、そのほとんどが「酸化チタン」です。
それは、記事内でもご説明した通り、酸化チタンには、
・多くの半導体が持つ「光溶解(水中で光を当てると溶けてしまう性質)」の性質を持たない。
・エネルギー量が少ない光とも反応することができる。
といった優位性があるためです。

エネルギー量だけで見れば、酸化チタンよりも少ないエネルギー量の光とも反応することのできる光触媒は他にもあります。
しかし、そういった光触媒は、光溶解の性質を持っているため、使用できる場面が限定されてしまうのです。
光溶解の性質を持たない半導体の中で、もっとも少ないエネルギー量の光と反応することのできる物質が、酸化チタンなのです。

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著者情報

空気とニオイのお役立ち情報編集部

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