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COLUMN

2022.04.21

【光触媒】酸化チタンの機能である「酸化分解」「親水性」について

酸化チタンの機能

光触媒には汚れを付きにくくする作用があります。
その理由としては、「酸化分解・親水性」という2つの特性を持っているためです。
本記事では光触媒物質の代表格とされている酸化チタンに焦点を当てて、「酸化分解」「親水性」の機能について詳しくご紹介していきます。

光触媒として使用される「酸化チタン」とは?

「酸化チタン」は、光触媒として最もよく使用されている半導体で、化粧品・歯磨き粉などの白色塗料としても用いられています。
そもそも、酸化チタンが光触媒として使用されるようになったのは、化学者である本多健一氏、藤島昭氏が実験中に酸化チタン電極に強い光を当てたところ、表面から酸素の泡が発生し、対極からは水素が発生していることを発見したことがきっかけであるとされています。
このように酸化チタンに光を照射することで、水が「酸素・水素」に分解されるということは、後の酸化チタン表面で起きる「光触媒」研究の発端となっていたのです。

【光触媒】酸化チタンの機能「酸化分解」とは?

酸化分解とは

光触媒における「酸化分解」とは、光触媒物質(ここでは酸化チタン)に光を当てることで、表面の水が分解されて酸素を発生させたり、どのような有機物も二酸化炭素まで分解させたりといった現象を指します。
光が当たると、酸化チタンがその光の力を吸収して活性化、塗装面に付着した汚れなどの有機物を酸化分解してくれるのです。
この現象は酸化チタン以外の光触媒物質にも見られます。
酸化チタンと同じように光を利用し、有機物を水と二酸化炭素に分解したり、窒素や硫黄などの有害物質を無害な物質に分解したりといった現象が起きます。

【光触媒】酸化チタンの機能「親水性」とは?

光触媒における「親水性」とは、光触媒物質(ここでは酸化チタン)に光を当てることで、その表面が水に馴染みやすくなり、水滴を垂らすとそのまま薄く広がって膜を張るような現象を指します。
普通の材料表面に水をかけると、水を弾いて水滴になることがありますが、これでは水が蒸発するとその場所に付着した汚れは残ったままです。
一方、酸化チタンをコーティングした表面に水をかけて光を当てると、親水性が働くため水滴にはならず、均一に広がっていくのです。
やがて全体に馴染んだ水は表面部分に水の膜を張り、汚れを浮かせて流してくれます。

「超親水性」とはどのような状態?

また、そんな親水性が非常に高い状態である「超親水性」という言葉があります。
これは、一体どのような状態なのでしょうか?
この言葉のキーワードとなるのが、水とその水が付く表面との「接触角」です。
通常、物質表面は大小問わず、水を弾くものとされており、この性質を「はっ水性」と言います。
はっ水性のコーティングが施された物質に水が付くと、コロコロとした水玉ができます。
この水玉の形状を保てるかどうかで、「はっ水性」なのか「親水性」なのかを大まかに分類することができるのです。
また実際に「どれくらい水を弾くのか」の基準として用いられているのが、水滴と物質表面が作る「接触角」というものです。
この接触角が大きいほど水滴は水玉状になりやすく、水を弾く性質の「はっ水性」に分類されます。
反対に接触角が小さいほど、水を弾きにくく馴染みやすい「親水性」として分類されるというわけです。
さらに、水をかけても水滴はできず、全体に濡れ広がって水の膜が張り、まったく水を弾かないという状態は「超親水性」に分類されます。
このことから、「超親水性」は「はっ水性」とは正反対の性質であるということが分かります。

超親水性は接触角がほぼ0の状態

接触角がほぼ0

池や沼に浮かぶ「蓮の葉っぱ」の上を水滴が転がっているところを見たことはありますか?
このようにコロコロと水滴が転がっている現象は、はっ水加工が施されたレインコートや傘の表面部分でも見ることができます。
このように素材がはっ水性の表面の場合、水との接触角は90度以上あると言われています。
そのほか一般的な樹脂であれば70~90度、ガラスのような無機材料であれば20~30度と接触する物質により異なりますが、10度以下の接触角のものはほとんどありません。
そのため超親水性に分類される酸化チタンは、「水滴の接触角がほぼ0に近い状態」という非常に稀な物質であると言えるのです。

超親水性・酸化分解のあわせ技でも活用されている

近年では、光触媒の「酸化分解」と「超親水性」の機能があわせ技で活用されていることもあります。
酸化分解によって汚れを直接分解、また超親水性により汚れ防止を向上させることができるという特徴から、主に住宅や建築の分野にて活用されることが多くなりました。
建物の外壁に付く汚れには、車の排気ガスや油分などが含まれており、これらの汚れは水だけで落とすことが難しいとされています。
そんな外壁表面に光触媒をコーティングしておくことで、超親水性の効果で汚れが付きにくくなります。
万が一汚れが付いたとしても酸化分解によって汚れが分解され、雨が降れば自然に洗い流されるため、いつでも綺麗な状態の外壁を保つことができます。

おわりに

本記事では光触媒物質の代表格とされている酸化チタンに焦点を当てて、「酸化分解」「親水性」の機能について詳しくご紹介しました。
「有機物を分解」「汚れを予防」の2つの機能を持つ光触媒は、塗料や外壁材などでもよく使用され始めています。
今後さまざまなシーンでその活躍の場を広げていくことでしょう。

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著者情報

空気とニオイのお役立ち情報編集部

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