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実はペットも
			トイレのニオイは嫌!? 実はペットも
			トイレのニオイは嫌!?

空気とニオイのお役立ち情報編集部(以下、編集部)が、
ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 動物人間関係学科 伴侶動物行動管理学研究室
講師の堀井隆行さんにわんちゃん、ねこちゃん、ペット達について伺いました。

堀井隆行先生

ヤマザキ動物看護大学
堀井隆行 先生(以下、堀井先生)
のご紹介

堀井先生:ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 動物人間関係学科 伴侶動物行動管理学研究室 講師の堀井隆行です。私は、愛玩動物看護師の資格を有し、主に犬猫の動物行動学を専門としています。
大学では、ドッグトレーニングの理論と技術、愛玩動物(伴侶動物)の適正飼養などを主に教えていますが、その他にも動物病院にて犬猫の問題行動の修正やしつけ相談、ペット用品開発の監修やアドバイスなどに携わっています。

編集部:知識だけではなく、多岐にわたって活躍されているんですね。さっそくですが、いろいろと質問させてください。

Q1

ペットの「ストレス管理」や「行動修正」について、どのように取り組まれていますか?

編集部:先生はペットの行動観察についてスペシャリストでいらっしゃいますが、テーマとされている「ストレス管理」や「行動修正」にどのように取り組んでいらっしゃいますか?

堀井先生:最近は、犬に対して当たり前に行われている行為が及ぼす負荷について興味をもち、研究に取り組んでいます。
例えば、犬がトリミングサロンでどの作業に対して攻撃性を示すのか調べてみたところ、意外と「ブラッシング」が多いことが分かりました。
そして好発するのは、やはり縮れた被毛が特徴のトイ・プードルでした。そこで、トイ・プードルの被毛に対するスリッカーブラシのかけ方による嫌悪反応を比較してみると、毛並みに逆らうかけ方のほうが嫌がりやすいことが分かってきました(未発表)。
また、別の研究では、飼い主さんがお散歩中に犬の歩き出しを促すためにリードを引っ張るときにどの程度の力がかかっているのか調べました。すると、「グイー」と強めに促す際には、多くの場合犬の体重を動かすために必要な力の約30~75%の力がかかっていると考えられました(未発表)。
これは、首輪を着けた体重10㎏の犬の場合であれば、約3~7.5㎏の力が首にかかりやすいということなので、軽い負荷とは言えません。ですから、飼い主さんがお散歩中に何気なくリードを引っ張る行為には見直しが必要だと考えています。

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Q2

ペットのニオイケアについて先生はどのようにお考えですか?

編集部:飼い主にとって愛すべきわんちゃん、ねこちゃんですが、ニオイ問題というのはつきものだと思います。ペットのニオイケアについて先生はどのようにお考えですか?

堀井先生:その説明に入る前にペットのニオイについて触れておきましょう。ニオイケアについては体臭ケアと排泄物臭ケアに分けて説明していきます。

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ー ペットのニオイについて

ペットのニオイといえば、“体臭”と“排泄物臭”です。
体臭については、「犬臭(くさ)い・猫臭い」と嫌がられる場合もありますが、「良い匂い」と感じる飼い主さんもいます。しかし、排泄物臭については明確に「悪臭」であり、愛犬・愛猫のウンチやオシッコのニオイを好んで嗅ごうとする飼い主さんはなかなかいないでしょう。
人にとって犬猫の体臭や排泄物臭は不快なものかもしれませんが、どれだけケアしても完全に消えてなくなるものではありませんし、それで良いのです。体臭も排泄物臭も犬猫の健康の指標になるので、飼い主さんが変化に気づける程度に嗅いでおくことは、愛犬・愛猫のために必要なことだと言えます。

ー ペットの体臭ケアについて

犬猫の体臭のケアとして一般的なのはシャンプー(洗浄)です。
ニオイの源を洗い流す ので、これほど効果的な方法はありません。
ただし、頻繁に洗いすぎると皮膚や被毛のダメージを十分にケアできずに、逆に皮膚・被毛の状態が悪くなることもあります。家庭では3週間に1回程度を目安に洗うとよいでしょう。
また、犬猫(とくに猫)は身体を洗われることを嫌がり、強くストレスを感じることもあります。シャンプーに慣れさせることはもちろん大切ですが、他の方法で工夫することも可能です。
身体を清拭するシートや泡で汚れを浮かせて拭き取るシャンプーは、犬猫も比較的受け入れやすく日常的なケアにも使いやすいです。あとは、ブラッシングで抜け毛やフケ、汚れなどを取ってあげることも体臭のケアになります。

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ー ペットの排泄物臭ケアについて

さて、本題は排泄物臭のケアです。犬猫の排泄物臭への対策の最重要ポイントは、愛犬・愛猫に“ちゃんとトイレで排泄してもらう(トイレトレーニングをする)”ことです。
犬猫のトイレ関連用品(ペットシーツや猫砂)は、そのほとんどが臭気を抑制する機能をもっています。そのため、ちゃんとトイレでオシッコをしてくれれば、お部屋に漂う尿臭を和らげることができます。
逆にトイレではない場所(絨毯やフローリングの上など)でオシッコをすると、尿を完全に取り除くことができず、ニオイが固着してしまい、臭い続けることもあります。トイレトレーニングが不十分なときは、床や敷物に尿が染み込まない対策(コーティングする、撥水性のものを使うなど)をするとよいでしょう。
糞は猫砂であれば埋めることで糞臭を抑制できますが、基本的には糞を取り除くしかありません。その他、排泄物は長時間放置すると、環境中の細菌の作用で悪臭が強くなるので、排泄物をこまめに片付けることも重要です。また、トイレ周辺の環境は除菌・消臭剤を使って清潔に保ちましょう。
とはいえ、留守番中や夜間にお部屋にこもるニオイもケアしたいところです。そういう場合に一般的なのは換気扇、消臭・脱臭剤、空気清浄機、除菌脱臭機の活用でしょう。芳香剤での加臭は、排泄物臭と混じってかえって不快なニオイになることもあるので、お勧めしません。

堀井先生:犬猫がニオイを情報伝達に活用しているという機能的な側面があることから、「消臭することは犬猫に悪影響を与えないのか?」と思う飼い主さんもいるでしょうが、慣れ親しんだ環境であれば、悪影響になることはありません。むしろ、犬猫自身にとっても排泄物は不快なものであることは、基本的に人と同じです。

Q3

ペット自身も自分の排泄臭を嫌がるとは驚きです

編集部:ペット自身も自分の排泄臭を嫌がるとは驚きです。もう少し詳しくお聞きできますか?

堀井先生:わかりました。行動観察で見られるペットがトイレを嫌がっている様子について見ていきましょう。そこから他の個体の排泄臭が気になる理由がわかってくるでしょう。

ー 行動観察で見られるペットがトイレを嫌がっている様子

厳密に言えば、犬猫が排泄物の“ニオイのみ”を嫌がっているかどうかは定かではありません。しかし、犬は休息や飲食をする場所を避けて排泄するということが、研究により明らかになっています。愛犬が「お散歩に行くようになると家の中で排泄しなくなった」という心当たりのある飼い主さんは結構たくさんいると思います。
また、猫は生活空間の近くでは排泄物をしっかり埋めること、排泄物のあるトイレを避けようとすること、などの研究報告があります。つまり、犬猫ともに自らの生活空間を排泄物で汚すことは避けようとする行動パターンをもっていることが分かります。
そして、ニオイを含めて排泄物で汚れている不衛生なトイレは避けようとします。ですから、排泄物の悪臭が漂う環境は犬猫の生活の質(QOL)を下げると考えてよいでしょう。
自分の排泄物臭でも基本的に避けようとするのですから、他個体の排泄物臭は排泄の失敗やマーキングの問題を引き起こす要因になる可能性があります。

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ー 嗅覚能力の影響は?

ちなみに、犬猫(とくに犬)の嗅覚は、人よりも薄いニオイを嗅ぎ取ることができ、人よりも多くの種類のニオイを嗅ぎ分けることができます。よく「犬は人の1億倍鼻がきく」と言われますが、実際にはニオイ分子の種類によって嗅覚の感度は異なるので一概には言えません。 また、“1億倍鼻がきく”というのは「同じ濃度のニオイを増幅して人よりも強烈に感じる」ということでもありません。ですから、排泄物臭については「人よりも強烈に臭く感じるから避ける」のではありません。 影響があるのは、トイレから距離が離れていてもニオイを感じやすい、除菌・消臭が不十分だと微細なニオイでも感じ取れてしまう、家の外で野良猫などが排泄をしているとそのニオイを感じ取ることがある、などです。嗅覚能力の影響については、正確に捉えておきたいですね。

Q4

多頭飼いで気をつけるニオイケアのポイントとは?

編集部:わんちゃん、ねこちゃん自身が嫌がっているのなら、積極的にニオイケアが必要に感じます。他の子もいる多頭飼いをされている飼い主さんは尚更気になるお話ですね。 そこで、多頭飼いで気をつけるべきニオイケアのポイントについてお聞きできますか?

堀井先生:犬猫はニオイを含む排泄物全体を嫌がっていると考えられるので、まずはこまめに排泄物を片付けることが原則です。そのうえで、留守番中や夜間など排泄物の片付けをすぐにできないときに、お部屋に漂う悪臭を効果的に取り除いてあげることは、犬猫の生活の質(QOL)を高めることにつながるでしょう。
加えて、犬なら大きめサイズで吸水性の高いペットシーツを使うこと、猫なら猫砂を深めに敷くことや複数のトイレを設置すること、などがこまめに片付けることができない時間帯のニオイケアに役立ちます。これらの方法は、多頭飼いの場合の対策にもなります。とくに猫の場合、他個体とのトイレの共有を避ける個体もいるので、頭数プラス1個を目安にトイレの設置個数を検討することも必要です。例えば、3頭飼育している場合はトイレ4個が目安になります。
さらに猫の場合、犬よりも他個体の出入り(新しい個体を飼いはじめる、預けていた個体が久しぶりに帰ってくるなど)で排泄などの行動が乱れやすいので、お部屋の脱臭を行うことによって、他個体のニオイが過度に気にならない手助けになるかもしれません。
また、少し違う観点ですが、屋外から漂ってくる野良猫や野生動物のニオイに犬猫が影響を受けて問題行動が起こっていることもあるので、そういう場合にもお部屋の脱臭が有効になる可能性があります。

編集部:他の個体のニオイを嫌がるわんちゃん、ねこちゃんが快適に過ごせるように空気をきれいに保ってあげたいですね。

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編集部:ペットを飼われている一般のご家庭などは、ニオイケアとして空気清浄機や脱臭機をお使いだと思います。脱臭機をよくご存知ない方も多くいらっしゃるかと思います。 これらを選ぶ際、もしくは使う際にペットに対して気をつけるポイントなどがあれば教えていただけませんか?

堀井先生:空気清浄機は床置きのものが多いので、とくに犬の場合はトイレなどへの動線を邪魔しないように設置してあげることが大切です。それよりも気を付けてあげたいポイントは、音や風量です。モーター音が大きいものや、換気量が多く吸気口・排気口の風量が強いものは、犬や猫が警戒したり、避けたり、する可能性があります。効果を考えるとトイレの近くに機器を設置したいですが、音や風量が原因でトイレを避けるようだと本末転倒です。臆病・神経質な特徴のある子はとくに注意してあげたいですね。そう考えると、静音性能に優れ、換気風量が少なく、かつ消臭効果の高い機器が理想的だと思います。欲張りを言えば、犬猫の毛によるフィルターの詰まりを気にしなくてよければ、飼い主さんにとっても嬉しいですよね。

編集部:堀井先生、今回はよいお話を聞かせていただきありがとうございました。今後もペットと人とお互いがより快適な暮らしを送れるよう、色々教えてください。

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【プロフィール】
堀井 隆行(愛玩動物看護師/修士[動物応用科学])
ヤマザキ動物看護大学 動物看護学部 伴侶動物行動管理学研究室 講師
麻布大学大学院 獣医学研究科 動物応用科学専攻 博士前期課程修了

人と動物の生活が豊かになるように、主に犬猫の動物行動学について教育研究に取り組んでいる。その他、動物病院にて問題行動の修正やしつけ相談、ペット用品開発の監修やアドバイス、雑誌等の記事監修などに携わる。共著に『知りたい!考えてみたい!どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)。

『知りたい!考えてみたい!どうぶつとの暮らし』(駿河台出版社)

ペットのトイレ臭に
着目した場合、
どのような脱臭機が良いのか?

大切なペットが引っかかったり、倒してしまったりしないようにと、QAISではペット用除菌脱臭機の「QAIS-air- 04A1J」を“壁掛け”に特化しています。 ペットの排泄物臭は上がっていくため、上からニオイをキャッチできることから壁掛けはペットに寄り添った形であると考えられるでしょう。 壁掛けのメリットとしては以下のようなものが挙げられるので、飼い主さんもペットも安心です。

  • 上からニオイをキャッチするため、ニオイが広がりにくい
  • 触れないから危険が少ない
  • ペットの生活導線を邪魔しづらい
  • 置き型の悩みであった毛の絡まりも抑えられる
ペットのニオイにお悩みの方はこちら

〈 ペットのニオイと脱臭機についてよくある質問 〉

ー 脱臭機と空気清浄機の違いは?

脱臭機と空気清浄機の違いとして、脱臭できるニオイの強さや機能、脱臭方法が挙げられます。 脱臭機はイヤなニオイを取ることに特化した機器であるのに対して、空気清浄機は脱臭効果もありますが、ホコリや花粉・ダニといった目に見えないものを取り去り、部屋の空気をキレイにすることに特化しています。 そのため、消臭成分や光媒体などを使用して、化学反応によりにおい成分を分解する脱臭機の方が、臭いの原因を取り除くことに長けていると言えます。

ー オゾン脱臭機の安全性について

脱臭機のなかには、オゾンを使った消臭方式を採用しているものがあります。 オゾン脱臭機はオゾンを触媒に使い、ニオイの原因となる物質を分解して消臭する「オゾン触媒分解法」が採用されています。 オゾンは独特のにおいを持つ薄い青色の気体であり、高濃度の場合は人体に影響を及ぼします。 市場に出回っているオゾン脱臭機は、オゾンンお量が低濃度になるように設定されているため、安全にニオイを取り除くことができますが、密閉空間で使用していると濃度も高まることがあります。オゾン脱臭機を導入する場合は、自動停止機能がついているものなど、安全性を考慮した脱臭機を選ぶ必要があります。

ー ペット用脱臭機の選び方とは?

ペット用脱臭機は、部屋の広さや機器の大きさ、取り除きたいニオイの性質を考慮して選びましょう。 部屋の大きさに合った脱臭機を選ばなかった場合、脱臭機能が有効に作用しないことにより室内にニオイが残ってしまいます。 また、特定の場所のニオイを取り除きたい場合は吸引タイプ、広い範囲のニオイを取り除きたい場合は放出タイプがおすすめです。