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FOCUS 04

「臭い対策プロジェクト」実証レポートQAIS -air- が介護現場に
もたらした影響

第3回目となる本稿では「カラダがよろこぶ空気。」をつくるQAIS - air-を一定期間設置した施設からの中間報告をお伝えします。
設置したのは、横浜市青葉区の「社会福祉法人若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉」のご利用者の居室です。果たして職員のみなさんは臭気改善の体感効果を得られたのでしょうかーー。

インタビュー

1週間経過し臭気の改善を体感

QAIS - air-は腰より高い位置が望ましいなど、設置する高さや空気の流れによっても効果が異なります。今回の実証実験ではこうした条件をとくに意識されなかったようですが、臭気改善の体感効果が得られたようですね。

西条さん:ポータブルトイレを使われているご利用者の居室に設置し1週間経過した頃から職員の間で「臭いが感じられなくなった」との声が聞かれるようになりました。

松崎さん:ご利用者の居室に臭いが残らなくなったという実感があります。臭いが残らないことはご利用者にとっても職員にとっても大きなメリットだと思います。

「職員ファースト」の意識から臭い対策を実施

今回は利用者の居室だけでなく、食堂、職員休憩室、女子更衣室などにもQAIS - air-を設置されたようですが、このような場所を選んだ理由を教えてください。

中村施設長:私たちの法人の理念として「職員一丸となって人を幸せにします」という考え方があり、ご利用者の幸せにするには、まずご利用者を支援する職員が幸せでなければならないという「職員ファースト」の意識があります。それにはまず職員の身体的な負担を軽減することが第一ではありますが、環境整備、つまり働く空間をいかに整えるかということも大きな要素となり、そのひとつが臭い対策だと感じています。

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QAIS - air-が職員に与えた影響

QAIS - air-を設置してから職員の意識に変化はありましたか?

西条さん:はい、大きく変りましたね。以前は臭いがあってもそれほど意識をしておらず、対策も後回しにしていました。それがQAIS - air-を設置してから、ご利用者の排泄ケアをした後に臭いが減ったかどうか気にするようになりましたし、臭い対策に対する意識も高まったように思います。

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設置時の職員からの
コメント

臭気改善について期待することとして、QAIS - air-の設置時に職員のみなさんからは以下のようなコメントがありました。

  • 便や尿の臭いが気になるので改善できればと期待しています。
  • 臭気を改善することは精神的にも大事であると思うので、積極的にやるべきだと思います。
  • 本人の意欲が向上すると思います。
  • 排便臭がないと居室内で快適に過ごせると思います。

調査結果

設置場所:「ふれあい」居室A

設置
期間

2019年12月4日~12月18日設置時、設置中、撤去直前、撤去後まで8名を有効回答者数とし、平均スコアを算出。

スタッフによる
「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
スタッフによる「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
対象者
93歳の女性・要介護4。尿もれがありおむつを着用。ポータブルトイレを設置している。
検証結果
設置時の平均スコアが2.75だったことに対し、設置中は1.13に下降、設置直前は0.88とスコアが大幅に下がり、撤去後1週間後にスコアが上昇しています。

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設置場所:「そよかぜ」居室B

設置
期間

2019年12月25日~2020年1月8日設置時、設置中、撤去直前、撤去後まで3名を有効回答者数とし、平均スコアを算出。

スタッフによる
「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
スタッフによる「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
対象者
89歳の女性・要介護2。失禁が毎日ではないが定期的にあり、おむつは未着用。
検証結果
設置時の平均スコアは4.0。設置中に2.0、撤去直前に1.7と推移。撤去後には2.7に上昇しています。

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設置場所:「さわかぜ」居室C

設置
期間

2020年1月23日〜2月16日設置時、設置中、撤去直前、撤去後まで7名を有効回答者数とし、平均スコアを算出。

スタッフによる
「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
スタッフによる「6段階臭気強度表示法」に基づくスコア
対象者
95歳の女性・要介護3。日中も夜間もおむつを着用。
検証結果
設置時に『強烈なにおい』『強いにおい』を感じている職員7名中3名が、撤去直前に『楽に感知できるにおい』『何のにおいであるかわかる弱いにおい』に改善。
また、平均スコアは設置中・撤去直前に下がりましたが、撤去後はスコアが上昇しています。

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※画像は居室設置のイメージです。実際の居室とは異なります。

6段階臭気強度表示法とは

においの強さを0~5の6段階で評価する方法。悪臭防止法での規制範囲は臭気強度2.5~3.5に対応する物質濃度、又は臭気指数とするのが適当とされています。

6段階臭気強度表示法 表

まとめ

上記の居室の測定スコアはいずれも規制基準範囲内に収まっていますが、取材班が訪れた際には、臭いは感じられる状態でした。入所者へのQOLの観点からすると少なからず影響を与えると考えられます。

いずれもQAIS-air-「設置時」と比べると、「設置中」ならび「撤去直前」のスコアの下降が顕著に現れ、職員の方々の期待を裏切らない結果となりました。現時点では途中報告の段階ですが、残る5つの居室でも同様の効果が期待されます。

次回は今回の調査結果内容の報告と職員のみなさんによる座談会をレポートします!