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FOCUS

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FOCUS 02

誰もが笑顔になれる
空間づくりをめざして

体臭やタバコの臭い、過度な香水や柔軟剤など人の集まるところにはさまざまな臭いが発生します。

「カラダがよろこぶ空気。」をつくるQAISを開発したサンスターと横浜市青葉区の「社会福祉法人若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉」がタッグを組み、<臭い対策プロジェクト>を発足。同施設ではこれまで高い顧客満足度を実現する国際標準「ISO9001」を取得するなど業界でも先進的な取り組みを実践。臭い対策においてもまさに全国の施設の見本になるべくチャレンジを重ねています。

第1回目はわかたけ青葉の中村彰施設長に始動したプロジェクトへの意気込みなどを伺いました。

社会福祉法人 若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉 外観

Interview 社会福祉法人 若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉

Data定員:120名(1ユニット10名の12ユニット)/構造:鉄筋コンクリート造 地上4階建/居室:全個室(約10畳~16畳)

社会福祉法人 若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉  中村彰 施設長
社会福祉法人 若竹大寿会 介護老人福祉施設 わかたけ青葉  中村彰 施設長

嗅覚・聴覚・視覚に訴える印象は大きい

「わかたけ青葉」がある青葉区はどのようなエリアなのでしょうか

横浜市のなかでも富裕層が多い地域であり、サービスの質、生活の質を求める方が多い印象です。施設見学にこられた方も館内に臭気があることで印象が大きく変わってしまいます。

若竹大寿会では介護老人福祉施設のほか、介護老人保健施設や認知症の人が暮らすグループホームなど、さまざまな事業を展開されていますね

はい、そのなかでも「サービス付き高齢者向け住宅」や「介護老人保健施設」を同じ敷地内にもつ「わかたけ青葉」は国内外からの見学者が多い、法人の窓口と言える施設です。それだけに、嗅覚・聴覚・視覚に訴える第一印象は大きく、とくに臭いは重視すべき点だと考えています。介護を必要とする人が集まって生活をしている介護施設は、自宅に比べると「臭気がある場」というのが、世間一般のイメージかもしれません。しかし、私たちの法人では施設であったとしても自宅と同じように気持ちよく過ごせる環境を整えていかなければいけないと考えており、それは最近の介護現場の流れでもあるように感じます。

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臭いが利用者のメンタルにも影響

臭気があることで利用者にはどのような影響がありますか?

利用者にとっては臭気があると気持ちが不愉快になり、生活に対して前向きになれない一因になります。

利用者以外ではどのような方に配慮されていますか?

面会に来るご家族には臭気がない空間で気持ちよく過ごして頂きたいと思っています。せっかく遠方から来て頂いたのに、施設に入った瞬間「臭いがこもっている。母親はこんな場所で暮らしているのか」と不安を抱かれることがないよう配慮しています。

全室個室で「ユニットケア」を導入

近年、利用者を10人程度の少人数グループに分け、そのグループをひとつの生活単位(ユニット)とし、専門の居住空間と専任の職員を配置する「ユニットケア」を導入する介護老人福祉施設も増えていますね

はい、私どもの施設は全室個室で10名の個室で1ユニットを形成しています。それぞれのユニット内には独立して食堂・居間・風呂などがあります。ユニットケアの導入により、利用者が「お世話される生活」ではなく「自分自身が主人公になれる生活」を実現することを目指しています。

ユニットケアが導入されていなかった頃と比較して排泄ケアのあり方も変わりましたか?

そうですね。以前の従来型施設では排泄用品をカートに載せて各居室を巡るスタイルで排泄ケアをしていましたが、ユニットケア導入後は各居室でおむつの交換をし、その場で処理を行うため、排泄ケアに伴う臭いは軽減されたと思います。ただ、残った臭いは、換気をするとその部屋からは除去できても空気の通り道であるユニットの廊下などに臭いが漂ってしまう場合もあります。私たちの施設では120部屋のうち20部屋はトイレが設置されていないため共用トイレを使われる方もいるのですが、職員が共用トイレの掃除まで手がまわらないと臭気が発生する原因になりえます。

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こまめな換気で臭いをなくす努力を

臭いをなくすために、職員はどんな心がけをされていますか?

まずは換気をこまめに行うということですね。加えて、施設で感じる臭いの一番の原因は排泄物ですので、密封して処分するなど、処理の手順を徹底することが大切だと考えています。

職員にはどのような工夫が求められるのでしょうか?

現場で働く介護職員は臭いに慣れてしまっている面があると思いますので、管理者や事務など他の部署の職員が居室を巡り臭いが気になったときには職員にそのことを伝えるようにするなど、職員間の連携も必要だと感じています。

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介護施設にもデザイン性が求められる時代

QAIS -air-の第一印象は?

とてもスタイリッシュで、介護施設というよりホテルに置いてあるようなイメージを受けました。ただ、時代の流れとでもいうのか、介護施設においてもQAISのような製品を設置することは、入居者のステイタスや施設としての差別化に繋がるのではないかと思っています。

換気以外の臭い対策として、ほかにはどのようなことを試されましたか?

いろいろと試してきましたが、空気清浄機などは、製品の特性上フィルターの掃除や交換が必要です。これまでもそうした手間がかかるため、次第に使用しなくなった経験があります。また、消臭対策で職員の更衣室にオゾン脱臭機を設置したこともありますが、逆にオゾンの臭いが気になってしまう職員もいました。

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多忙な現場では負担のない消臭対策が理想

介護施設が多忙な職場であることはマスコミでも報じられています。介護職員にとっては、できるだけ負担のないかたちで消臭対策を行えることが望ましいのでは?

その通りです。QAISは基本的にメンテナンスの手間がかからないということで、現場やスタッフにとても嬉しいポイントです。

最後にQAIS -air-に期待することを教えてください

利用者への介助とともに、生活環境の臭い対策についても一生懸命取り組んでいる職員にとって「臭いがある」と指摘されることはモチベーションを下げる一因にもなります。QAISがマンパワーである職員の努力を補う役割を果たしてくれることを期待しています。臭いがなく、清々しい室内環境の中で働くことがどれだけ素晴らしいかということをぜひ職員に実感してほしいと思います。

次回はQAIS -air-を体感した職員のみなさんからご意見を伺うために座談会を開催。
その様子をレポートします。お楽しみに!

リポーター プロフィール
介護ジャーナリスト 
小山 朝子 KOYAMA ASAKO

小山朝子(こやまあさこ)。介護ジャ-ナリスト、ノンフィクション作家。東京都生まれ。20代から約10年間祖母を介護する一方、介護の現場を約20年にわたり取材。介護福祉士の資格ももつ。全国での講演・執筆のほか、テレビ、ラジオ等各種メディアでコメント。
日本在宅ホスピス協会役員、東京都福祉サービス第三者評価者などもつとめる。
近著『世の中への扉 介護というお仕事』(講談社)が2017年度「厚生労働省社会保障審議会推薦 児童福祉文化財」に選ばれる。

「世の中への扉 介護というお仕事」(著/講談社)

厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財
全国学校図書館協議会選定図書

「世の中への扉 介護というお仕事」(著/講談社)