2022.02.24

• 光触媒

【光触媒の実用化】製品として応用されたもの

実用化が進められている光触媒

光触媒はその「応用力」が非常に高く、新しい材料が開発されるとすぐに製品へと反映ができるという特徴を持っています。
そんな光触媒の研究の歴史は長く、これまでに多くの光触媒に関する材料開発が実施されてきました。
現在でも光触媒の新材料の開発は行われ続けており、日々新しい応用が展開され製品化が進められています。
また、光触媒を使用した製品は子どもから老人まで安心・安全に使用できるほか、太陽の光や蛍光灯の光があればどのような場所・環境でも使用できることから、先進国はもちろん開発途上国など、世界中で活用することが可能であるとされています。
世界各国で普及の見込みがある物質として、今後も新しい用途への開発が進められていくと予想されます。
次項では実用化されたさまざまな光触媒製品から、代表的なものをご紹介します。

光触媒の実用例　セルフクリーニング製品としての応用

さまざまな作用を持つ光触媒。
その中でもとくに実用化が進んでいるとされているのが「セルフクリーニング効果」です。
下記に、セルフクリーニング効果が用いられた製品をいくつかご紹介します。

光触媒タイル

酸化チタンを住宅の外壁のタイルに薄くコーティングし、「光触媒タイル」として活用することで、太陽の光が照射した際、タイル表面に付着していた油汚れなどが分解されます。
この現象は光触媒の作用の一つであり、「酸化分解」と呼ばれています。
さらに雨が降ることで、タイル表面に薄い水の膜が生じて汚れを浮かし、そのまま洗い流してくれる効果もあります。
こちらも光触媒の作用の一つであり、「超親水性」と呼ばれています。
光触媒タイルは、太陽の光や雨などの自然の力を利用して、「酸化分解」「超親水性」の2つの作用を引き出すことができます。
このことから、代表的なセルフクリーニング製品として広く名が知られるようになりました。

光触媒コーティング材

前項でご紹介した光触媒の作用を上手く取り入れて作られたのがタイル以外の外壁材にも使用することができる「光触媒コーティング剤（酸化チタンコーティング剤）」です。
現在こちらの光触媒コーティングが使用されている一例として、学校の校舎・マンション・教会の建物などが挙げられます。

光触媒の実用例　空気浄化への応用

光触媒の実用例として、空気浄化への応用編も見ていきましょう。

光触媒機能を持つ道路

現在、日本を含め世界各国で「大気汚染問題」が深刻さを増しています。
この問題について少しずつ改善されてきている国・地域も出てきましたが、未改善のところはまだまだ多く、地球規模での環境問題として大きく注目されています。
光触媒は、この大気汚染の問題に対しても活躍しています。
光触媒には太陽の光を利用し、空気を清浄化する作用もあります。
セルフクリーニング製品に取り入れられているような「表面汚れの分解」に留まらず、大気中に含まれる有害物質「窒素酸化物 NOx」を分解・除去する作用を持っているのです。
こちらの光触媒機能を持つ道路路面や、高速道路の防音壁などにも取り入れられ、近年大気汚染対策への製品として活躍を見せています。

光触媒技術を利用した空気清浄機

光触媒の空気の浄化作用を活かした「空気清浄機」や「除菌脱臭機」も登場しています。
光触媒反応による「分解・除去力」を活用することにより、空気清浄機・除菌脱臭機内のフィルター性能が低下してしまうこともなく、室内の空気を常に清潔かつ快適な状態に保ち続けることができます。
そんな光触媒技術利用の空気清浄機・除菌脱臭機の内部構造としては、ホコリや大きなゴミを取り除く「プレフィルター」、ウイルスや細菌、臭い成分などを分解・除去する「光触媒フィルター」、光触媒の反応を起こすための「光源・UV光」、空気を循環させる「吸引ファン」などのパーツから構成されていることが多いです。
現在では家庭内でのほか、病院や介護施設・オフィス・食品工場・ペットショップなど、さまざまな場所や施設でこちらの空気清浄機・除菌脱臭機は利用されています。

おわりに

本記事では「光触媒の実用化」に焦点を当て、光触媒が製品として応用されたものをいくつかご紹介しました。
「光触媒という言葉は聞いたことがあるけれど、何に使われているものなのかよく分からない…」という方も多いかと思います。
光触媒の作用を応用した製品はこれまでに多く誕生しており、私たちの生活を支えてくれている「身近なもの」として存在しています。
光触媒は現在も、さまざまなシーンでその活躍の場を広げているのです。